朝晩とかなり少し過ごしやすくなってきました。
いよいよ食欲の秋ですね。
そんな食欲の秋を満喫しようと言うことで
仕事を兼ねて創業100年越えの京懐石へ行って来ました。
10月に入ると有名処のお店は観光客で満員になるので今が狙い目。
今回、お邪魔したのは錦市場近くの京懐石「近又」さんです。

錦市場と言えば一級品の食材が集まる料理人の市場ですが
今は様変わりしてしまい昔からある乾物屋さんやお肉屋さんは撤退されました。
寂しい反面、タコ焼き屋さんやスヌーピーカフェが出来て
インバウンド効果も相まって連日歩くにも一苦労するほど大混雑しています。
10年ほど前まではシャッターが閉まったままのお店もあり
「錦市場はどうなるんだろう」って不安でしたが時代は変わるものですね。
魚屋さんは海老を串に刺してホットプレートで焼き
イイダコも串に刺して食べ歩きが出来ます。
そんな激変真っただ中の錦市場近くにある近又さんも
9席あるカウンターに7名のお客さんが居て活気を感じますね。
それにしてもランチタイムとは言え決して安くは無いんですよ。
お昼は6000円と10000円のコースのみです。

元々は近江(滋賀県)の薬売り屋の定宿で屋号を「近江屋」とされ
近江屋又八さんが始められて今でもお宿と懐石料理をされています。
お宿の方は1泊5万円ほどで1日に3組だけです。
それ以上の人を泊めると目が行き届かないと言うご主人の心遣いだそうです。
お昼は11時半~が1部、13時~が2部
1部は満員の時が多く、ゆっくりと静かに食べたい時は2部がお薦めです。

扉を開けて中に入ると右手に「お宿近又」の上がり口があります。
小さく写っていますが靴ベラがそっと置いてありました。
「京懐石近又」はこちらではなく左手の暖簾になります。

こちらが京懐石の入口です。
ご常連や知っている方は暖簾をくぐって入っても良いと思うのですが
案内して頂くまで待つ方が無難だと思います。
気取らずにどうぞと仰って下さるのですが
京都の場合、建前と本音は全く別の場合があるので注意です。
特に老舗やお茶屋さんは作法を重んじられますので
知ったふりをせず相手に聞くようにすると
この人は「上品なお方や」とおもてくれはります(^^;)
こちらがお客さんなので、そこまで気を遣うことも無いのですが。

通されたのは今年の春、リニューアルされたカウンター席だけのお部屋です。
カウンターは立派な白木の1枚板なので腕時計を外しました。
綺麗な白木なので傷でも付いたらとついつい遠慮がちになります。
汚れはカンナで削れば治りますが傷は埋める訳には行きません。

手前が8代目若旦那で奥は板前さん。
厨房もメチャクチャ綺麗でしたよ。
見ていて気持ちがいいくらいシンプルな綺麗さでした。
今回は季節限定の鱧の蒸し寿司をメインにした鱧づくしと言うことで
どんな鱧ちゃんが出てくるのか楽しみです。
飲み物は瓶ビールをお願いしました。
中瓶1本1200円、種類はプレモルとエビスです。

変わった箸置きでしょ。使ってみて分かったのですがコレは理想的でした。
お箸を持ちあげるのにとても掴み易いです。
お盆も漆塗りって分かりました。
ビールのグラスは切子細工のグラスで透明度が抜群でしたね。
落として割りでもしたら大変だぁとついつい(^^;)

乾杯のあと抜群のタイミングで八寸が出てきました。
まぐろの握りと茄子の柚子味噌、万願寺の炊きもの、ごま豆腐
どれも逸品でした。素材が良いの一言に尽きると思いました。
茄子も万願寺も良い部分だけを使ってましたし
ごま豆腐は濃厚なのにスッと喉を通りました。
器の竹かごも凄く目が細かく緑が鮮やかなので
洗って何回も使えないなぁ~って思います。
「京料理は目で楽しむ」と言うことを耳にしますが
使われている器が半端じゃなく贅沢なんです。
料理を演出する紅葉や葉の緑も鮮やかでしょう。
これでは使い回しは出来ませんね。
料理のお値段が高い理由はこういう事でもあるんですね。

八寸が終わると、これまたベストタイミングで椀物の登場です。
いい器だわ~思わず声が出てしましました。
漆でピカピカです。
仕事柄、漆芸家の方と交流もありますので器の見方なんかも教えて頂きます。
蓋の輪の文様は書いたものでは無く下地を透かした技法です。
軽いので生地を薄く削っていることが分かりますが
薄い分だけこの文様を出すのもの難しいと思います。
まさに職人技です。素晴らしい~

中身はどんこ、ずいき、鱧です。
”どんこ”とは若い椎茸のことでそれを天日に干します。
干す事により旨み成分が凝縮されて
それを水で戻す時に出る出汁を料理に使う為、和食では重宝されています。
”ずいき”は里芋の茎です。
シャリシャリ食感がたまらなくいいです。
鱧も肉厚で骨切が細かく、食べた時の骨当たりが全く無いです。
このお出汁をかき氷に掛けて食べたいくらい良い味でしたね(^^;)

厨房から凄い湯気が上がっていて「この湯気はご飯かな?」って思ったら私達の蒸し寿司だそうです。
湯気と共にいい香りが…これも演出ですよね。
お料理は五感で楽しむとは正にこの事です。
板前さんの調理白衣も汚れてなくて綺麗です。
いい仕事してますね~って言いたくなりました(笑)

揚げ物は天麩羅でミョウガ、カボチャ、鱧です。
ミョウガの苦みとカボチャの甘味、そして鱧の淡泊な味を
天麩羅の油が引き出してくれてました。
野菜の天麩羅って難しいですよね。
家でも時々しますが油を吸い過ぎてしまうんです。
お店の天麩羅って何であんなに上手に揚がるのでしょうか。

来ました~メインの鱧寿司!
器も熱いので気を付けないとです。

けっこうな量があります。
中に入っているのは焼き鱧にズッキーニ、山椒にイクラにおぼろ玉子です。
そしてワサビが添えてありました。
ズッキーニは意外でした。おぼろ玉子も手間がかかるんですよ。
この鮮やかさは玉子の黄身だけかなと思ったら正解でした。
ここまでくれば、もう手間賃ですよ。
蒸し寿司なので御飯は酢飯ですがお酢がそんなに効いてなくて
鱧が思いっきり主張してました。
これも計算された味付けなんだと思います。

メインのあとはデザートです。
さてここで問題です。デザートはアイスですが何のアイスでしょうか?
京都だから抹茶!違います。
緑色だからメロン!違います。
もしかしてスダチ?違います。
………
答えは紫蘇です(大葉)
創業当時からあるメニューらしいです。
明治時代には近又の初代がノミで氷を削り大葉をすり潰して
蜜をかけてお店に出していたそうです。
えーーーそんな歴史があったなんて~
この紫蘇アイスが絶品でした。
コンビニで売ってくれないかなぁって言うくらい絶品でした。
食べた事がないのも驚きでしたが
紫蘇がこんなに美味しいのも驚きでした。

こちらはおトイレに行く通路です。
カウンター席と完全に隔離されているのがいいです。

おトイレから見たお店。
今はどのお店もおトイレが綺麗です。
トイレを見ればお店を評価出来る時代になりました。
最後に7代目ご主人と若旦那(8代目)のお写真を撮らせて頂きました。

店内では食べ終わる頃にご主人がわざわざ出て来られて
「いつも御贔屓に」と一人一人のお客さんに挨拶をしていらっしゃいました。
お二人とも凄く腰が低くて老舗の看板を背負いながらも
それに染まり切ってないところに共感が持てました。
帰りは錦市場の方へ帰ったのですが私達の姿が見えなくなるまで見送って下さいました。
何から何まで感服です。今度もまたお邪魔しますね。
御馳走さまでしたm(__)m





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